大阪市をよくする会

大阪万博開催国決定にあたって(談話)

大阪万博開催国決定にあたって(談話)

2018年11月26日
明るい民主大阪府政をつくる会 事務局長 荒田 功
大阪市をよくする会 事務局長 福井 朗

 

 2025年国際博覧会(万博)は11月23日の博覧会国際事務局の総会で投票が行われ、日本が開催国に選ばれた。万国博は新しい文化の創造や科学技術、産業技術の発展などを目的に世界的な規模で行われる。

 今回の大阪万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにしている。これに相応しい万国博となるかどうかは現状では極めて疑わしい。大阪万博の開催には、解決すべき課題が山積みしている。

 

 第1に開催予定地の人工島「夢洲」の安全性である。政府の地震調査会は今後30年以内に震度6弱以上の地震発生率は大阪で56%。津波が伴う南海トラフ地震は7割から8割の確率で起きるとしている。「夢洲」は大阪湾岸部の中でも特に津波や地震の被害が大きいとされている。極めて危険性が高い。

 

 第2に「夢洲」は2028年まで使用できるゴミの最終処分地である。また、夢洲の土壌にはダイオキシンや重金属による土壌汚染の危険性がある。早期に埋め立てる費用とともに、「夢洲」に代わるゴミの処分場への費用負担などは莫大なムダ使いとなる。

 

 第3に開催国を決めるにあたり、博覧会国際事務局は「万国博とカジノIR」は別の事業と理解したと言う。しかし大阪府・市の「夢洲まちづくり構想」は、カジノIRと万博がセットの計画だ。第1期でカジノIRをつくり(70ha)、第2期で万博会場(60ha)、第3期で滞在型リゾート施設(40ha)をつくる計画となっている。

 

 万博の事業運営費800~830億円、会場建設費1250億円は国・府・市・民間が負担するというが、費用の多くが税金で賄われる。この他、交通インフラで、なにわ筋線3300億円、淀川左岸線延伸工事4000億円、夢洲への中央地下鉄延伸540億円、JR桜島線延伸1700億円と巨大開発が目白押しだ。

 今、税金を投入すべきは、高度経済成長時代のような大規模開発ではなく、環境問題やエネルギー問題、そして何よりも高齢化社会に対応した、医療や福祉など社会保障制度や防災対策の拡充ではないか。

 

 大阪万博は決まったが、カジノIRが認められたわけでなく、多くの国民がカジノに反対している。半年間の「万博が終わり、後にはカジノ賭博場が残った」では、府民や国民の理解は得られない。カジノ実施法は強行されたが、ギャンブル依存症対策などは後回しだ。利権と犯罪の温床となるカジノで景気回復は出来ない。

 

 私たちは、「夢洲」での万博開催に反対し、安全な会場と経費を抑えた大阪万博の開催を求める。また、万博を隠れ蓑にしたカジノIRの誘致には断固反対することを表明する。
以上

[PDF]大阪万博開催国決定にあたって(談話)