市民の要求と運動

カジノについて

大阪・関西万博の開幕にあたって(声明)

2025年4月13日

大阪・関西万博の開幕にあたって
「カジノ誘致計画」に万博を利用することは許されない!(声明)

カジノに反対する大阪連絡会
事務局長 荒田 功

カジノのために夢洲を会場したことがすべての困難のはじまり

 

 本日、大阪・関西万博が開幕した。

 

 大阪湾に浮かぶ廃棄物の最終処分場の人工島「夢洲」が会場である。インフラが未整備の「夢洲」を会場にしたことで、超軟弱地盤に起因する土壌改良費や建設費が膨れ上がり、海外パビリオン建設が遅れる原因にもなり関係者に大変な苦労を強いている。多くの海外パビリオンが開幕に間に合わず、「未完成のままの万博」開催となった。

 

 昨年3月28日、メタンガスの爆発事故が起こり、4月6日のテストランで爆発濃度のメタンガスが検知されるなど、「夢洲」の危険性はいっそう高まっている。その一方で、吉村知事の「自然換気すれば対応できる」との態度は、いのちと安全に対する危機意識の欠如を露呈している。

 

 また、「夢洲」へのアクセスは橋とトンネルしかない。来場者の交通アクセスの脆弱性だけでなく、災害時には15万人が3日間以上も「夢洲」から避難できずに孤立することを万博協会が認めている。さらに、硫化水素やPCBなど人体に有害な化学物質が問題視され熱中症やヒアリの危険性なども指摘されている。開幕にあたって、これらの問題は解決されておらず、安全が保障できない「夢洲万博」は中止すべきである。

 

夢洲での万博は、談合疑惑と利権のカジノと一体で進められた

 

 「夢洲」を万博会場にするよう求めたのは松井一郎元維新代表である。読売新聞のインタビューで松井氏は、「カジノIRとセット」と答えている。不純な動機によって危険な「夢洲」を万博会場に決めたことで、万博の理念に沿って成功のために取り組んできた国内外の人々の努力が踏みにじられた。その責任は重大だ。

 大阪の未来がギャンブルでの儲けをあてにすること自体、地方自治体の責務として大きな問題がある。

 カジノ問題では、現在、住民訴訟が行われている。土壌改良のために788億円もの公金を投入し、格安賃料でカジノ用地をカジノ事業者に貸したこと、それによって大阪市民に莫大な損害を与えたことなど、3つの原告団によって訴訟が提起されている。

 

 特にカジノ用地の格安賃料差し止め訴訟では、カジノ用地が12万円/㎡であるのに対し、夢洲の隣接地の変電所用地は33万円/㎡であり、カジノ用地の土地価格の鑑定で官製談合が指摘されている。

 

カジノ解禁はギャンブル被害を拡大する

 

 カジノの入場者数の見込みは年間2,000万人、うち1,600万人が日本人だ。日本MGMの社長は大阪市議会の参考人質疑(22年3月)でカジノ入場者の2%程度にギャンブル依存症が発生すると認めた。カジノができると、新たに毎年40万人ものギャンブル被害者を生み出すことになる。

 

 昨今オンラインカジノの事件が後をたたない。芸能人、スポーツ選手など、すでに日本人の350万人が手軽にできるスマホを通じてオンラインカジノを利用しているという。

 

 「夢洲」にカジノができれば、そこを拠点にオンラインカジノやゲーム型賭博がひろがる危険性が十分にある。現在の日本では、オンラインカジノは犯罪だが、カジノ業者の次の狙いは、日本人をターゲットにしたオンラインカジノやスポーツ賭博にあることは明白である。
多くの人々を集めるイベントに不適格な「夢洲」は、カジノIRでも不適格だ。

 

 カジノによる社会的リスクは、経済効果をはるかに上回る。今からでも遅くはない。危険な夢洲での万博を中止し、カジノ計画は白紙に戻せ!の声を大きく挙げよう。

カジノ格安賃料差し止め訴訟(3月19日)

カジノ用地は12万円/1㎡、変電所用地は33万円/1㎡
「カジノ用地は格安」 と大阪市自らが証明

 

 3月19日、カジノ誘致を止めることをめざす裁判が行われました。
 前回1月から3つのグループによる6つの事件が合同で審理されています。今回の裁判では、カジノ格安賃料差し止め訴訟の弁護団より吉川亮太弁護士が意見陳述し、カジノ用地の隣接地に建設された関電の変電所の土地価格を大阪市がカジノ用地の約3倍の33万円/1㎡に確定していると主張し、カジノ用地の格安を大阪市自らが証明していることを示しました。

変電所用地は「高層ホテル、最寄り駅を夢洲駅」で鑑定
吉川亮太弁護士の意見陳述(要旨)

 もう少し詳しい「第2・5事件原告ら準備書面(4)の説明」はこちら

 書面では、IR用地の東に隣接する夢洲変電所の建設予定地が、昨年、1㎡約33万円と鑑定評価された事実を明らかにし、IR用地が1㎡12万円と鑑定評価され、それに基づき算出された賃料は「適正な対価」ではないと主張しています。
 大阪市は、昨年、関西電力送配電㈱に対して夢洲変電所用地を売却するために、不動産鑑定を依頼し、1回目の鑑定では1㎡約15万円と鑑定され、大阪市はこれを不動産鑑定審議会(大阪市の財産処分価格が適正かをチェックする諮問機関)に諮問しました。しかし、審議会は、「1㎡約15万円は安すぎる」として、答申を保留しました。また、2度目の鑑定を依頼・再度審議会への諮問も答申保留とされました。
 大阪市は、3度目の鑑定を3社に依頼し、土地の最有効使用を「高層ホテル、最寄り駅を夢洲駅」とするなど適正な条件に修正して鑑定されたところ、1㎡約33万円とされました。大阪市は、この評価額で審議会に諮問し、適正価格だと答申されました。

カジノ用地の約3倍

 IR用地と変電所用地は、地理的条件や周辺環境にほとんど変わりません。両者の土地には大きな差異はなく、評価基準として考慮されるべき要素も、非常に似通っています。にもかかわらず、IR用地が12万円、変電所用地が約33万円と、大きな差があるのは明らかに不合理です。IR用地が不自然に低額に評価されているとしか言いようがありません。そのプロセスにおいて何らかの不正があったことが示唆されているのではないでしょうか。
大阪市の態度も問題です。同じ夢洲内の隣接した土地であるのに、一方では12万円が適正であると主張し、もう一方で約33万円を適正だとしており、誰が見ても不自然です。
 
 そもそも、不動産鑑定評価は土地の適正な価格や賃料を決定するために不可欠なものであり、これが公正かつ適切に行われなければ、土地の所有者に対して深刻な不利益をもたらします。特に、本件のような公有地、IR用地の鑑定評価が公正かつ適切に行われていなければ、所有者である大阪市、ひいては大阪市民全員、その他にも不動産取引や地域社会に及び、社会的に極めて深刻な問題をもたらします。そしてこの問題を放置することは、行政及び司法に対する信頼を著しく損ないます。
 「適正な対価」とはいえない格安賃料でIR用地を貸すことは、大阪市民にとって大損害です。基礎価格12万円を基に算出された賃料が「適正な対価」でないこと、この賃料と定めた大阪市長らの責任を追及するための資料として、今回、変電所用地に関する主張を追加いたしました。

3つのグループが6つの裁判
共同訴訟の参加関係

 2022年7月から2024年12月の間に、3つのグループが6つの住民訴訟を提起、共同訴訟となっています。
 弁護団から、整理された資料が出されましたのでご紹介します。

※各原告団代表者
  第1事件:山田明さん(名古屋市立大学名誉教授)
  第2事件:藤永のぶよさん(おおさか市民ネットワーク代表)
  第3事件:山川義保さん(カジノを止める府民の会事務局長)

大阪IRカジノ住民訴訟 弁論期日&報告集会(3月19日)

■弁論期日】
◇ 2025 年3月19日(水)11:00 ~
◇ 大阪地方裁判所 2階 202 法廷
    10:35~ 傍聴券の抽選

 

■【報告集会】
◇ 2025年3月19日(水)11:30頃~(弁論期日終了後)
◇ 大阪弁護士会館 2階 202・203号会議室