大阪市をよくする会

95億円、回収不能に 大阪市などのWTC貸付金

 再建手続き中の大阪市の第三セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)に対する市と市の外郭団体の貸付金計95億円が回収不能になる見通しだ。WTCが売却できても、金融機関への支払いなどに充てられるため。市は貸付金と別に89年以降、WTCに計609億円をつぎ込んでいる。

 市の貸付金は75億円で、市の外郭団体「大阪市開発公社」も20億円を貸している。WTCが売却できた場合、売却収入はテナントの敷金16億円と金融機関からの借入金67億円の返済に優先的に充てられる。これらを合わせた83億円以上で売却できれば、市などの貸付金返済に充てられる可能性もあった。

 しかし、大阪府は府庁移転を目指すWTCの購入価格を77億円(消費税など除く)と提示。関係者によると、買収に名乗りを上げている民間企業も、83億円以上は支払えないという意向を示しており、事実上、市などの貸付金は回収不能だ。

 市によると、WTCが保有する現金は再建手続きが終わる今年度末までに賃料収入などで約50億円になる見込み。だが、これも運営費と相殺されて残金はなくなるため、市などの貸付金返済には充てられないという。(朝日新聞島脇健史)