大阪市をよくする会

迷走劇また?知事再挑戦、WTCへの府庁舎移転案を説明

 読売新聞は7月30日、次の報道を行いました。

議会「終わった話」 

 「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)への大阪府庁移転を目指す橋下徹知事は30日、庁舎移転関連議案を9月25日開会の定例府議会に提出する考えを府議会各会派に伝えた。知事与党までが反旗を翻し、大差で関連議案を否決してからわずか4か月余り。移転反対派の府議らからは「もう終わった話。また持ち出すのは議会をばかにしているのか」と、早くも反発の声が広がり、異例の再挑戦のハードルは一層高く立ちはだかる。

知事の決意 
 9月議会に向けて自民党府議団と意見交換する橋下徹知事(30日午前10時37分、大阪市中央区の大阪府公館で)=関口寛人撮影 「WTCへの庁舎移転が東アジアの都市間競争に必要だという認識を伝えたい」。橋下知事はこの日朝、府公館での府議会の会派別意見交換会を前に、そう意気込みを語った。

 移転構想は昨年8月に橋下知事が提唱。「関西再生の起爆剤に」と訴えたが、府議会は今年3月24日、庁舎移転条例案を賛成46、反対65で否決。2日後、WTC社は会社更生法の適用を申請して2次破綻(はたん)した。今回は、更生管財人と大阪市の平松邦夫市長が橋下知事に買い取りを強く要請しており、市側の協力態勢が整ったとして改めて橋下知事が移転案を議会に諮る意向を示す。

先制パンチ
 しかしこの日の会合では、先制パンチは最大会派で知事与党の自民党(43人)から繰り出された。3月議会では採決を巡り、若手中心の賛成派とベテランら反対派が対立し、一本化に失敗。賛成派の6人が新会派を結成し、分裂した。

 東徹政調会長は「移転に反対する最大理由は大阪市の本気度だ」と切り出し、「市が本当に関西の発展のために交通アクセス、防災に取り組む具体案を示さなければ、(庁舎移転に必要な)議会の3分の2の賛成は難しい」とクギを刺した。

強まる反発
 会派内で賛成、反対に割れ、自主投票で採決に臨んだ知事野党の民主(24人)。意見交換会の冒頭、西脇邦雄幹事長は「ほかにスポンサーがいる中で、管財人が大阪府と大阪市に移転を要請した意味が理解できない」と困惑の表情で語った。

 橋下知事はこの場で、「上海やソウルに負けたくない。アジアに目を向け、関西の都市戦略で足りないものは何か、という観点で庁舎問題もとらえていきたい。そのためには大阪府は大阪市の(負の遺産を買い取るという)犠牲になってもいい」とまくし立てたが、会合後は、「(議会側の反応は)厳しいですね」と神妙な表情を見せた。

 知事与党ながら、3月府議会で反対に回った公明党(23人)の岩下学幹事長は「議会で一度反対した判断を変えるのは、簡単ではない」とけん制。移転に反対する共産党(10人)の阿部誠行幹事長は「府庁移転は市の開発失敗の尻ぬぐい。府民にとって百害あって一利なしだ」と批判する。

市役所
 一方、大阪市では、平松市長が府庁舎移転を要請したことから、市幹部は「再び否決されれば、市長の責任も問われかねない」と気をもみ、市議会も「府が買い取るのは理想だが、一度否決された議案が簡単に通るとは思えない」と懐疑的だ。